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「それにしても、そんなの作って一体どうするの? まさか売る気じゃないでしょうね?」
「売らないよ! これは僕のだもん!」
「じゃあ、何なのよ?」
「これはねー、まず眺めるでしょー! それから、一緒に寝るでしょー! あとね、えーと、えーと……」
そこまで言ったところで、視線をキョロキョロさせて口ごもる。
「それから?」
「い、色々だよ! 色々っ!」何かを誤魔化すように声量を上げ、少し口を尖らせる。
「これ、ホントは等身大サイズで作りたかったんだよねー。でも今の僕には、このサイズが限界だったんだよ。もっともっと頑張らなきゃね!」
よーし、と拳を握りしめ決意を新たにしている。
「あなたねぇ……」魔女は何かを言おうとしたところでかぶりを振った。
「まぁ、いいわ。それは、あなたの私に対する愛、だと受け取っておくわ。どうもありがとう」
「えへへっ」
少年は頬を赤らめ、少し恥ずかしそうな笑みを浮かべている。その顔からは、魔女がブルッと肩を震わせた事に気付いてもいないようだった。
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