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「いやいや、謝らせてくれよ」
「うん、じゃあちゃんと気持ち、受け取っておく」
「どうも」
「ねえ、今日、いっしょに帰らない?」
「大丈夫なの? 他の人といつもいっしょじゃないの?」
「たまにはそんな気分になるのよ。そんなこと言ったら今だってここにいるじゃない? それに……」
「それに?」
彼女はちょっと恥じらいながら、
「昨日、いっしょに帰りそびれちゃったし。きっと昨日はチャンスだったのにねー」
「確かに」
「だからさ、今日はいっしょに帰ろ?」
「ああ。そうしよう」
放課後。
俺は英里紗と帰ることになった。
『目の前のキミが好き』
「キミが、すき……」
「どうした? 眠たそうだけど?」
夕方だからやはり眠くなってくるのだろう。彼女は眠そうな表情になっていた。
俺はそのスキを狙って催眠術を唱えた。
ワザとらしくハッと目を覚ましたかと思うと、彼女はいきなり俺に向かって、
「わ、わたしっ、洋平のことが好きなのっ!」
「えっ、そ、それは……」
「本当よ。わたし、ずっと洋平のことが気になってたの。昨日だってそう。棚から落ちたわたしを助けてくれたとき、心臓の高鳴りが止まらなかった。これってゼッタイに『洋平のことが好きだから』だと思うの」
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