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 よし。初回のツカミとしてはバッチリだ。緊張していつも喋れなかったけど、大きな一歩だったと思う。こんなに上手く行くものなのか。  この調子でどんどん催眠術をかけてゆこう! 『目の前のキミの名前を呼ぶ』 「なまえを、よぶ……」 「洋平、授業始まっちゃうよ?」 「ああごめん英里紗」  彼女のウィンドチャイムのようにキレイな音色の声に起こされ、俺は授業の準備を始めた。  というのはワザとだ。寝たフリをする。これによって彼女の注意を引いて名前を呼んでもらうことを狙った。どうやら今回も上手く行ったらしい。まあでも、この手段を使いまくってたらそのうちワザとでホントに寝ちゃうかもしれないけど。適度に使う程度にしておくべきだな。実際に今ちょっと眠い。次は『目の前のキミと話したい』とでも唱えておこうかな。  そう考えていると、 「そう言えばさ、」 「ん?」  むしろ彼女から話を始めてきた。なんというナイスタイミング! 「こうやって2人で話すの、たぶんほとんど初めてじゃない?」 「そうかも」 「わたし、前から洋平とは話してみたかったんだ。ほら、隣どうしだし」 「そりゃ嬉しい。俺もずっと英里紗と話したいと思ってたからさ」 「ホント! 嬉しい」  彼女は笑顔になった。やっぱり顔もステキだ。 「じゃあさ、いつも授業の間の休み時間、スマホけっこう使ってるよね?」 「うん」     
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