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† 2 †
5月のある日。俺と英里紗は2人で日直の仕事に当たった。
朝から日直の仕事として授業の始まりと終わりの号令だったり日誌だったり。いろいろあったけど、最後の最後で、担任の飯田から頼まれていた仕事を忘れていたことに気づいた。その仕事というのは4月に書いた個人目標を天井近くの壁に掲示するというものだった。
別に俺も英里紗も忙しい部活に入っているわけじゃなかったから、放課後にすることにした。急いでしてもゆっくりしても、あまり変わるものじゃないだろう。
でもせっかくの機会だ。この際も催眠術をかけることにした。
『目の前のキミが助ける』
「キミが、たすける……」
これは流石にかわいそうだと思った。なぜかって、俺が失敗してしまったら英里紗は間違いなくケガをするからだ。
でもケガはしない。させない。俺がそんなことをさせない。美しい英里紗に擦り傷1つ付けさせやしない。
「さすがに危ないから俺がやるよ」
「良いって! 洋平のその足の大きさじゃあ、物入れ棚に収まりきらないでしょ?」
「まあそう言われてみればそうかもしれないけど」
「それにわたし器用だから。平気へいき」
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