第一章 『花びら落ちた』

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 私はこんなに脆くなんてなかったのに、どうして。  原因はストレス、と頑張り過ぎ、の他には見つからず、発声障害から人間不信になり、鬱病になった。  音声外科でボイストレーニングをするのと同時に、何年も心療内科から処方される安定剤を毎日飲むことしかできない。  ……と、コピー用紙をホッチキスで止め、課長に資料を渡し席に着いた所で、窓口にて声が聞こえた。声のする方を見ると、女子学生らしき人物が立っている。  ここは自分が行くべき所なのだが、私の事情を知っているためか、パート職員の道重千郷(みちしげ ちさと)がパッと先に席を立った。
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