第四章 『雨音に耳を澄ませて』

2/64
111人が本棚に入れています
本棚に追加
/456ページ
「いつも一次会で終わりだったけど、二次会するのも悪くないな」  課長はコロコロ笑いながら、道重さん達も楽しそう。  学生課の人達は飲み会が好きらしく、私が移動になってからほぼ毎週、花の金曜に飲み会を開いていた。  最初の一回だけ参加したが気が重く、それ以降、誘いを断り続けている。  一応今でも声はかかるものの、周りも私が来るとはもう思っていないだろう。  付き合いの悪い奴、と思われているのは間違いなかったが、ガヤガヤしているお店で、私の声は誰にも届かない。無理して笑って、惨めな気持ちになるだけだ。だから飲み会の誘いだけは、割り切っていた。
/456ページ

最初のコメントを投稿しよう!