第七章 『小暑の夕に』

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*  しかし、カフェでの守屋君や槙さんのことを思い出すことはたまにあり、でも、仕事の時は仕事だけに集中しよう、と思いながらパチパチキーボードを叩いて報告書を作っていると、手前にある受付から私の名前を呼ぶ生徒が現れた。 「あら、鳰さんご指名? 珍しい、女子生徒さんじゃない」  近くの席の道重さんが、受付に立っている風上さんを見て、小声で話しかけてくる。  ──風上さん……?  一体何だろう、他の職員ではなく私を名指しした風上さん。
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