第173話 出発

1/5
88人が本棚に入れています
本棚に追加
/1047ページ

第173話 出発

翌朝、一人さびしくソファーに寝ていた僕は早朝に叩き起こされた。 「起きろ、起きろ。起きないとキスしちゃうぞ!」 杏子さんだ。 ぺしぺしと、おでこを叩かれる。 「ぬぬぬ」 唸っていると、どすんと僕の体の上にのしかかってきた。 「早くしないと、今晩エッチさせてあげないよ!」 「しないから、平気…」 「置いてくよ。ほら、もう7時だよ!」 「…えっ」 慌てて、がばっと頭を上げて時計を見るとまだ5時だった。 悪い冗談だ。 だけどそれですっかり目が覚めて、僕はもぞもぞと体を起こした。 何も朝5時に起きなくてもいいと思うのだが、実はそんなに時間に余裕がない。 7時半には出発しなくてはならないのだ。 杏子さんはジャージ姿で、ミキちゃんはキッチンで朝食の準備をしていた。 僕だけ、寝ぼすけさん状態。 「ほれ。さっさと起きて着替えて」 「う」 「はい、さっさと靴はいて。行くよ」 「う」 引きずられるようにマンションの部屋を出る。 むわっとしていて、暑い。 朝靄の中、あくびをしながら、国道沿いを軽くジョギングする。 それから、小さな神社で体操とストレッチをして、お参りをしてからマンションに戻った。 クーラーの効いた部屋が気持ちよかった。     
/1047ページ

最初のコメントを投稿しよう!