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「おはよう。和花(のどか)ちゃん」  両手に大きなゴミ袋を持ち、部屋から外へ出た途端、声をかけられた。横を見ると、同じ造りのドアから出てきた隣の部屋の住人が、鍵をかけながら私を見ている。 「あ、おはようございます。橘さん」 「すごいゴミだね。引っ越しでもするの?」  私は苦笑いしながら答える。 「いえ、部屋の整理してたらこんなになっちゃって……普段物を捨てられない性格なもので」  小さく微笑んだ橘さんは、私の手からゴミを一袋取り上げた。 「ひとつ持つから、ちゃんと鍵閉めな」 「すみません。ありがとうございます」  私は持っていた鍵で戸締りをすると、廊下を歩き出す見慣れた背中を追いかけた。
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