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「仕事? こんな時でも」
「ああ、不具合があったみたいなんだ、悪いけど......」
怖くなって最後まで言えなかった、テレビの画面を見つめたまま顔を動かそうとしない磨理。
「あなたが行かなきゃダメなの? 他の人は?」
部長の顔が頭をよぎる。
「ダメなんだ! ごめん」
「へー」
「悪い、本当ごめん」
ここでも謝りながら笑顔になる、やはり癖になってしまったのだろう、笑顔でいれば大丈夫、誰かに聞いた事があった。その表情だけ、振り向いた磨理に見られた。部屋を出る瞬間に微かに聞こえた。
「......さよなら」
黙ってドアを閉めた――
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