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「そんなことを、“今”、言う必要がありますか?」
高智さんは淡々と対応する。
内心めちゃくちゃ腹立つだろうに、怒鳴ったりしない高智さんがすごすぎる。
二人で営業を無視して仕事を進める。
それでも鋼の精神力を持った営業は諦めずに何度も高智さんにからむ。
(早く、どっか行けよ!)
イライラした。
大人の対応で高智さんは最低限の相手をしてるけど、それでもいつ限界が来てもおかしくない。
何よりこんなアホな営業のせいでストレスかけさせるのはかわいそうだ。
嫌がられてるのに、営業はまたにやにやしながら高智さんに話しかける。
(頭おかしいだろ!)
あ。
もしかしたら、高智さんのことが好きなのか?
冷たくあしらわれるのが好きなのか?
いや、でももう、高智さんのことを好きでも嫌いでもこれは無い。
「営業さん、さっき部長が探してましたよ」
「ほんとか」
とっさに嘘をつく。
でも部長が営業の誰かを探していたのは本当だ。
その誰かを間違えていたとしても、ご愛嬌。すみませんの一言だ。
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