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◇◇◇◇◇
「伊月、さっきの商品どこ?」
「オレがやりましたっけ?」
「お前以外誰がやるかよ!」
「そうでしたっけ……」
「おいおいしっかりしてくれよ!」
「すみません……」
ふわぁー全然記憶がない。
「こっちにまとめてありましたよ」
高智さんが出荷予定の商品を見つけてくれた。
「間違えてない?」
「ちゃんとできてますよ。大丈夫」
オレはほっと息をついた。
仕事は甘くなかった。
速く丁寧に確実にこなさないと終わらない。
思ったより頭も使う。
普段のほほんとしているオレからしたら、確実に向いてない仕事だった。
「おい伊月! どこ行く!? それはいいからこっちやれ!」
「こっちっすか? わかりました!」
社員さんの指示にささっと従う。
「伊月お前ほんとに大丈夫か!?」
さっきのやり取りが不安だったのか社員さんが言う。
顔がいかついから怒ってるように見えやすいけど、多分これはまだ怒ってない。
眉間にシワはよってるけど。
「大丈夫っすよ!」
こう言うしかないよな。
向いてない仕事への不安がわくけど、がんばる。
まだいける、はず。
「伊月、それ中身が違う」
「伊月、日付忘れてる」
「おい伊月! 出荷商品間違えてるぞ!?」
「伊月! 今度は商品どこにやった!?」
「おいおい伊月さん!! お前いい加減にしろ!! 次は絶対間違えるなよ!?」
「すみません! 次から気をつけます!」
とりあえずこう言ってみるけど、内心すみませんの一言。
社員さんが注意してオレが慌てて、高智さんがフォローする形がすでに定番になりつつあった。
本当にごめんなさい。
始終こんな感じで忙しい毎日が過ぎて行く。過ぎていくんだろうなって思ってた。
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