寝なきゃ見れないものがこちらにやってきて

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「とんでもない。むしろこの状態は非常に危険だと判断しているさ。 今はこの町のみだけども、いずれは日本全部果ては地球もっと行けば宇宙にまでこのような 無秩序なイカれた世界が当たり前に変換されてしまうのを阻止したいのさ......論より証拠だな。奥さん、ちょっとお子さん借りますね?」 黒い丸は僕の手を取り、そのまま空へ飛んでいった。お母さんはいってらっしゃいと手を振っていた。  起きたばかりでパジャマ姿のままだったが僕には寒さを感じず だんだん小さくなっていく僕の家とどんどん見える町の全体に少し面白くなってきた。 「さて、枕木あきらよ。ここからなら町全体が見えるはずだ。 まずは自分の家から小学校まで どうやって行くのか思い出してごらん」  黒い丸はそう言いながら針金のような指で僕の家と僕が通う小学校を差した。  言われた通りに家から 学校までの道のりを思い出しながら道をなぞるように指さして言った。 玄関を出て向かって右側に行き 一つ目の信号を 右に曲がり 大きな通りに出るから 横断して 浩延が見えるまで道のりをまっすぐ歩けば僕が通う学校のはずなのに途中で迷路のような道ができているし、川を渡るように大通りの途中が無かったはずの橋を渡るように変わっていた。学校の裏に山が初めからいるように居座っていた。何より町も外れに海岸があるのがおかしかった。町は内陸部だから川があっても、海には面していないはずだった。     
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