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「 君は気づいているけれども、君以外の人間はほとんど元からこういう町だったと信じて疑わないよ。これが夢と現実の境が壊れた状態だ。君にはこの町を直して元の町に戻す責任......もとい使命があるのだ。この夢取り網を使ってちょうちょやトンボを捕るように夢の住人を捕る。簡単だろう?」
言っていること 確かに簡単 だけども 下を見る限り ほうきに乗った人や絨毯に乗ったおじさん さっきのお父さんのように空飛ぶ車 見えている 渡されたこの網の部分は僕の頭がギリギリ入るぐらいの大きさだ 捕まえられるわけがないし、仮に捕まえようとしても 頭に虫取り網をかぶせるいたずらにしかならない。
「どう見ても大きさ違うから無理に決まってるじゃん」
「百聞は一見にしかず。それに始めないうちから無理と言ってるやつはな、棺桶に入るまで無理だ無理だと言い続けるしか無くなるから即刻やめたまえ。ほら剣道の竹刀を持つように真正面に網を持ってみろ」
僕は一度も剣道行ったことないんだけれど言われるままに虫取り網を構えた。
「おお、なかなかかっこいいではないか。拍手してあげよう」
黒い丸が僕の横でパチパチと手を叩いたと同時に僕の体は落っこちていった。
「おっとこういうときは......とりあえず『てへぺろ』っと言っておくか。てへぺろ」
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