怪談 短編集 １

公園

誰か知り合いでもふざけているのかと思い　笑いながらトイレに入ったが、中はシーンとしている。
個室の扉も空いていて人が入ったような形跡がない。

「まじでふざけんなよぉ、おまえら、さっきドア閉まってたし」

「ふざけてるのあんたでしょ？早く帰ろうよ」

「うそじゃね～し、本当に閉まってたし。声、聞こえたし・・」
彼の顔がどんどん青ざめていくのを見て皆の顔からも笑顔が消えていった。

「とりあえず・・・帰ろうよ・・・」

４人は　早々と家路についた。

次の朝
公園前にパトカーが止まっていた。

学校へ行く途中　とても気になったが急いでいたのでそのまま走った。
学校へ着いてすぐ友達に聞いてみた。

昨夜、公園で首吊り自殺があったと言う。
同僚と飲んだ後、帰宅途中に公園へ寄って亡くなったらしい・・・

遺書も無く、一緒に飲んでいた同僚も
そんな素振りは全然無かったと言っている。
死亡推定時刻は２２時から２４時・・

私達は同じ時間帯に その男と同じ場所にいたはずなのに・・公園内でそれらしい姿は誰も見なかった。
もちろんトイレにも誰もいなかった・・

きっと、私達が帰った後の事なんだろう・・と話していたが
あのトイレに入っていた友達は浮かない顔をしていた。

彼の話だと ・・
たしかに ２つある個室の奥の扉だけが閉まっていて

(あ、誰か入っている。)

と思ったのですぐ済まして出ようとしたら、個室から声が聞こえてきた。