バス停

1/3
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

バス停

男は 出張で小さな町の支店へ来ていた。 海岸沿いのその町は 風が気持ちよく大きな海を前に思いっきり深呼吸が出来る。 一瞬でも都会を忘れ 心穏やかなのんびりとした時間に心地良く浸っていた。 仕事が終わり駐車場へ向かう途中 綺麗な夕日を見つめ ふと デジャブのような感覚に襲われる。 (あれ? 前にも見たことあるような・・どこで見たんだろう? 同じような夕日・・どこだっけ?) 暫く記憶を辿っていたが あまりの綺麗さに そんな事は どうでも良くなっていた。 明日から現実に戻り また慌ただしい中で生きていかなければならない。 名残惜しそうに夕日を見つめ 少し海岸をドライブする事にした。 夕日が徐々に変化してゆく。 (海へ沈む夕日を見るのは 何年振りだろう・・・何年振り?・・・やっぱり、前にも見たんだっけ?・・・いつだ? 夕日なんて・・・テレビや映画で何回も見てるだろ・・何 考えてんだ俺・・) フッと苦笑しコンビニの駐車場へ入った。 おにぎりとカフェオレを買い 車へ戻る。 太陽が完全に隠れてしまうまで静かに見ながら おにぎりを食べた。 さて・・・帰るか。 すっかり辺りも暗くなり自分以外の車は全く走っていない。     
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!