第三章 閻魔の思惑

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「それなら問題なし。元々、ミカル兄に言われるまでもなく、俺もエルマも、その方向でしか考えてなかったから」 「え?」 「そうそう。ただ、スメラギ商会に就職したとして、どうやって必要な時に飛んでいけるかとは悩んでたけど」 当たり前に言ってくれるエルマに、ヨシュアは驚いた。 「本気なのか?」 「だから、アベルが言ってたろ。他の誰の為に動いているわけじゃないって」 「でも…」 「嫌になったら、駄目だって引き止められても離れるよ」 この発言によれば、少なくとも現地点では嫌気が差してはいないらしい。 「にしたって、スメラギ商会として送り出されて国外活動してたらやばいんじゃないのか」 「ああ、それも大丈夫。ミカル兄に抜かりなし。結婚祝いに乗じて、王族筋の友人に全部の制約を外してもらったんだって」 打ち明けられたヨシュアは開いた口が塞がらなかった。 どうりで、戸籍を移動したばかりの花嫁を連れて気軽によその国へ新婚旅行に行けるはずだ。
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