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「あー、もう! なんか言いたいことは色々あるんだけど、二人とも本当にいいんだな」
「しつこい」
「右に同じく」
「じゃあ、遠慮なく助けてもらうからな」
「「おう、任せとけ」」
本格的に動き出す前から困難しか待ち受けていない企画なので、幼馴染みが増えたところで何も前には進んでいない。
それでも、ヨシュアの中では確実に、劇的に、心持ちが変わっていた。
「うう、寒っ。さっさと中に入ろう。話はそれからだ」
「勝手にヨシュアが出てくるからだろう。風邪なんて引くなよ」
「俺だって引きたくないし。だいたい、アベルがこれ見よがしに不気味な哀愁を漂わせてたせいだろうが」
「何おう?」
仲よく子どもっぽい応酬をしながら薄く積もった雪を踏みしめていくアベルとヨシュアに、エルマは呆れ半分でほっとしていた。
「ちょっと、ヨシュアまで玄関から入る必要はないだろう」
呼びかけても全然引き返してくる気配がないので、開けっ放しになっている硝子戸の後始末に向かう。
戸に手をかけると、気になって仕方ないのに黙って見守ってくれていたティアラと目が合った。
エルマは、これからもよろしくという意味を込めて笑いかけると、凍りついている硝子をきっちり閉めてから、まだじゃれている幼馴染み達を追いかけるのだった。
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