第三章 閻魔の思惑

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ティアラが生まれて初めて姫巫女としてではなく、ただの招待客として参加した異国での結婚式は、驚きがいっぱいだった。 挙式ではウェイデルンセンとは違う様式に新鮮な思いがしたし、その後の披露宴では豪勢な華やかさと人の多さにくらくらした。 もちろん、少し前に参列したオーヴェでの式典の方が比べ物にならないくらい規模が大きかったものの、こちらは一国の代表でもないのにこれだけ集まるのだから、本当にすごいと感心してしまう。 どれもこれもが目新しくて、賑やかで楽しかった。 特に披露宴は本当に自由で、誰かが壇上で挨拶や出し物をしている合間にもヨシュアの顔見知りが席にやって来て、隣に座っているティアラにも挨拶をしてくれるのだ。 ドンチャン騒ぎな披露宴は兄のファウストがいれば下品だと目隠しされそうな騒々しいテーブルもあったものの、ティアラが知っている厳かさはどことなく佇んでいて、花嫁の内から滲み出る幸せな美しさはどこの国でも同じなのだと感じられた。 「ねえ、ヨシュア」 「ああ、いいんじゃないか」 「え?」 「俺も同じことを考えてた」 きょとんとするティアラに、ヨシュアは笑った。 「どうせ、ファウスト王かオアシスが正式に主催するんだろうし、俺達が企画するものだからこんな規模は無理だけど、身内の祝いとして用意するなら全然ありだろう。レスターさんの結婚式」 それは正しく、ティアラが考えていたそっくりそのままなので本当に驚いた。
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