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「悟?」
突然聞こえた女の声に、嬉しそうな千紗の顔が一気に強張った。
「……は?リカ?お前なんでここに……」
「やっぱり悟だー!悟がサプライズなんて意外過ぎて、別人かと思ったんだけど……随分特別なセフレちゃんなのね?」
……ヤバい。
千紗は俯いているが、顔を見なくても分かる……空気が凍っている。
「リカお前、ふざけんなよ……」
「あたしともまた遊んでね?こないだの水曜日も楽しかった」
「はあ!?何言って…!!」
「……あたし帰る」
千紗が席を立つ。
「あれー?怒っちゃった?でもどうせこの子も本気じゃないんでしょ?結婚とか考えられないって、悟よく言ってたもんね?」
…………ブチッ
「いい加減にしろ!!俺はコイツに本気で惚れてるし、千紗以外と結婚する気もねえんだよ!!」
「……は!?なっ何勝手なこと言ってんのよ!?大体この人とも……」
「この女の言うことは信じんな!!千紗と会ってから俺は他の女とは一回もしてない!!これからも一生ない!!だから俺を信じろ……千紗!」
何があっても絶対千紗を失いたくない。
その為に必死だった。
涙で潤む千紗の目が一度瞬きをして、真っ直ぐ俺を見ながら頷いた。
「…………はい」
その瞬間……
「悟!千紗ちゃん!おめでとう!!」
「……え?大野さん?」
少し離れた席から立って歩いてきたのは、大野だった……。
「ゴメンねー騙しちゃって!悟の高校の同級生のリカでーす」
「え……!?」
「やっぱりお前が仕組んだんだな!?大野!!」
「おかげで大成功だったでしょ?プロポーズ」
……最悪だ。
一番嫌だと思っていた、公衆の面前でのプロポーズ……。
気付いたら周りからも祝福の拍手を浴びていた……。
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