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携帯の着信音が鳴り響く。
「千紗ちゃんからだ……はーい、どうしたの?」
『ゆめ……明後日暇じゃない?』
「えっ!?明後日!?……は、ちょっと予定が……ど、どうしたの?」
思わず隣にいた大和くんと顔を見合わせる。
千紗ちゃんは少し言葉を詰まらせた後、低い声で言った。
『……こないだの水曜、悟が誰かとホテルに行ってたみたいで……』
「えっ!?ホ、ホテルって……水曜日……?」
隣で、携帯に耳を近付けていた大和くんと……大野さん。
「あーそれ僕だ」
大野さんがサラッと言ったもんだから、更に焦る。
『えっ?今の……大野さん?一緒にいるの?』
「やっ実はそこで偶然会って…!!」
『……なんで悟とホテルに?』
「えーそれは下見…」
「あー!!それよりなんで明後日!?加藤、誕生日だろ!?」
『ちょっと、大和うるさい……いいの、何も予定ないし』
これ以上喋ったらボロが出そう……慌てて携帯を取り返すと、諭すように話した。
「千紗ちゃん、ホテルの件はとにかく大野さんとだから、誤解だったんだよね?千紗ちゃん誕生日なんだし主任と2人でお祝いした方がいいでしょ?主任も絶対そう考えてるよ!」
……電話を切ると、楽しそうに笑った大野さん。
「あはは。じゃあ僕の要件も済んだし、後は明後日当日にしっかりやるから」
そう言って帰って行く。
「……はぁ、焦った。大野さん絶対ワザとだよな」
……確かに、あの人は私達の反応を楽しんでる節がある。
こうなったらその分、私がしっかりしなくっちゃ!
主任に頼まれた秘密の計画……絶対バレちゃダメなんだから……。
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