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「お疲れ様でしたー!」
今日の仕事を終えて、私は目いっぱいの笑顔のまま留学生のための講演会が行われていた会場を後にした。
今日の仕事は受付業務で、愛嬌だけは誰にも負けない私にはピッタリの仕事だった。
その片づけも終え、ピンヒールの靴音を鳴らせながら会場の出入り口の自動扉へと向かう。
私の終える時間を計算して待っていてくれたのか、扉を出てすぐに専属運転手が乗っている車が停まっていた。
「お迎えありがとー」
「お疲れ様です」
私の姿を見つけると、運転席から出てきた藤堂はすぐに後部座席に回り扉を開けてくれる。
いつもならすぐに乗り込むけれど、今日は藤堂の前にピタッと止まった。
「なんですか?」
怪訝な顔付きで私を見下ろす藤堂と視線をバッチリと合わせる。
そして、どう? という感じで首を傾げてニコッと笑った。
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