7047人が本棚に入れています
本棚に追加
目を丸くし、私は藤堂の後ろ姿を見つめる。
その本人は、照れくさいのか耳まで真っ赤になっていた。
「えっ、一緒に来てほしいの? 私に来てほしいの? 今、藤堂、そう言ったよね?」
「えぇ、いいましたよ」
「平静装っているけど、今、めっちゃ恥ずかしい気分でしょ」
サラッと返事をするけれど、目は座ってるし口元も引きつっている。
これは、必死に恥ずかしさを誤魔化している顔だ!
「わかってるのならいちいち言わないでください」
「ふふー、そうだよねぇ。私にお願いごとなんて恥ずかしいよねー? でも、一緒に来てほしいんなら行ってあげてもいいけどー?」
「アンタ、ほんっと性格悪いな」
とにかく藤堂をからかい続ける私を、コイツは呆れ半分でミラー越しに見つめる。
一気に機嫌がよくなった私は、鼻歌を歌いながら運転席を覗き込むように前のめりになった。
最初のコメントを投稿しよう!