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それからなんだか言葉を発するのが恥ずかしくて、沈黙してしまう私。
でも、頭の中では「藤堂さん、藤堂さん」と何度もこの人の名前を連呼していた。
車はニ十分ほど大通りを走り、ファミリー向けのタワーマンションが建ち並ぶ地域を走り続ける。
その通りには遊びに行った帰りや塾帰りの子ども達がたくさんいて、自分もあんな時があったなぁと懐かしい思いに浸っていた。
「あっ、ちょうどいいところに」
そして藤堂が独り言をつぶやき、私もその声に反応した。
「んっ? なに?」
「この道をレッスン帰りの娘が歩いているので、ここで拾うから。くれぐれもボロだけはでないようにお願いしますよ」
「藤堂さんの方がすでにボロが出てますよ? さっそくアンタの方が敬語使ってるじゃん。大丈夫?」
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