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ハッと気付き、口を覆う藤堂を私は笑って後ろから見つめる。
藤堂は咳払いをして照れた顔を隠した。
「いや、もう今から大丈夫だ」
「ふふっ。間違ったら適当に合わせてあげる」
「それはどうも」
ふーっとため息をはき、車はゆっくりとスピードを落としてハザードランプをつけてから停止させる。
「では、迎えに行ってきます」と私に言い残し、運転席を降りて藤堂は私の母親くらいの年齢の女性と歩く愛美ちゃんらしき女の子に声をかけに行く。
「あの人、どう見ても母親じゃないわよね。お手伝いさんかな?」
たしか美子ちゃんたちの結婚式で麗佳さんから聞いたのは、愛美ちゃんの母親はろくに家に帰りもしない親だと言っていた。
だから、多分あの人はお手伝いさんとかなんだろう。
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