●悠美お嬢様&藤堂編●①

2/33
前へ
/478ページ
次へ
揺れている振動が気持ちよくて、私は睡魔に襲われ気持ちよーく眠っていた。 今日は大切な日だってわかっていたのに、いつものように朝方まで遊んでいたせいか、どうにも眠たくてしょうがない。 寝不足の時の車の揺れってどうしてこうも気持ちいいのだろう。 極上の睡眠を味わっている気分になる。 「……起きてください。着きましたよ」 私を起こす男の声が聞こえてくるけれど、耳は反応しても体は全く反応しない。 それどころか、まるで巨大な重りが乗っているのかと思っちゃうくらいだ。 「ちょっと、起きてくださいってば」 だんだんと距離を縮めてくる声の主は、イライラしているのか半分怒っているようにも聞こえてくる。 それでも私は気持ちいいシートの上で丸まってまた眠りの世界へと突入していく。
/478ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7080人が本棚に入れています
本棚に追加