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私が藤堂の肩をバンバンと叩きながら大きな声で反論すると、「運転中に危ない!」と怒られる。
そして素直に後部座席に戻ると、藤堂が言葉をにごしながら話し出した。
「自分に好意を抱いている女が他の男のところにフラフラ行くのは気分よくないっていうのもありますけど……」
「えっ? なんて?! 声が小さすぎて聞こえない!」
本当は狭い車内だから、なんとか聞こえていた。
でも、ヤキモチみたいなことを言う彼の言葉をはっきりと聞きたくて、わざと聞こえない振りをしたんだ。
「……なんでもないです」
「……ちぇー」
「お嬢さん、絶対に聞こえてましたよね」
「ふふん」
ここからでもわかるくらい、藤堂は耳まで真っ赤にして照れている。
私のことでこんなリアクションをしてくれるのが嬉しくて、私はにやける頬が止まらなかった。
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