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顔は悪くなかった。ナンパ慣れもしているみたいだから、後腐れもなさそう。
一晩だけ遊ぶならアリな相手なのかもしれない。
昔の私なら、間違いなくすぐにOKしていただろうなって思う。
でも、今はあんまり気が進まないのが現状だ。
「どうしよっかな……」
名刺を指先に挟んで眺めていると、フッと照明が暗くなり一つの場所にスポットライトが照らし出され、みんなそこに注目する。
「新郎新婦の入場です! 皆様盛大な拍手でお迎えください!」という司会の人のひときわ明るい声が会場に響き、キラキラに輝いたライトに照らされた二人が現れた。
私の意識は一気に美子ちゃん達に集中し、名刺の男の存在なんてすぐに忘れ去ってしまう。
このテーブルの誰よりも大きな拍手をし、二人を満面の笑みで迎えた。
ここから見ても二人はとっても幸せそう。
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