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呆れ半分の声だったけれど、私の身を案じてくれていることに身体が震えるくらい感動してしまう。
なに、これ。人間って嬉しすぎると身体は震えちゃうものなの?
「それにアンタに何かあったら、俺の責任だし減給されるんだよな。それだけはホント、勘弁」
「ちょ……やっぱりお金?! アンタはお金のために私の面倒を見てるの?!」
藤堂は独り言のつもりだろうけど、耳を澄ませてコイツの声を聞いていた私の耳にはバッチリと聞こえてきた。
そして「やべっ」という独り言も。
「この金の亡者! 最低!」
「金が好きで何が悪い」
「あー! 開き直った! この下衆男!!」
「はいはい、お好きなように叫んでください。あっ、明日は早いですよ、お子様はもう寝た方がいいんじゃないですか」
「だから、子ども扱いしないでよ!」
私達二人の声は私のマンションの前に着くまで、車内の中で盛大に響き続けた。
でも、私は憎まれ口を叩き合いながらも、(いつか子ども扱いをやめさせてみせるんだから……!)と固く決心した夜になった。
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