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「要は、ハジメテじゃなくなればいいんだよね?」
え?そうなの??
そういう問題?
頭が混乱するあたしを、志摩さんは優しく抱きしめた。
……違う。
前に痴漢に襲われた時、怖くてパニックになって青木さんに抱き着いたことがあった。
あの時あたしを包んでくれた暖かい腕は、この人じゃない……。
……でも、こうすることで本当に青木さんの恋愛対象に入れるなら……。
ふっと体の力を抜いたあたしを見て、志摩さんは妖しく微笑む。
優しく顎を掬われ、目が合った。
「……キスも初めて?どこまでがいい?澤ちゃんが望むなら僕は大歓迎……」
少しずつ距離が近くなっていく……
……その時、頭に浮かんだ顔は、
「ーーやっぱり、やだーーーーっ」
思わず叫んだその瞬間、
体がふわっと浮いたような感覚があって
気付いたら誰かの腕の中にいた。
……あ、この腕だ……。
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