24時間恋愛中

42/74
前へ
/74ページ
次へ
目の前には、息を切らした青木さん。 「あーあ、せっかくいい思い出来るとこだったのに」 志摩さんは残念そうに肩をすくめた。 「じゃあ、青木さん。澤ちゃんのこと後はお願いします」 まるで何事もなかったかのように志摩さんは帰って行った……。 「……なんで……?」 やっとの思いで声を絞り出すと、青木さんは体を離して言った。 「……染井くんから電話来て、今日は澤さん迎えに行かないからって」 …それで、迎えに来てくれたってこと…? 「…や、じゃなくて……ごめん……」 「……また、ごめん」 何度聞いても辛い言葉。 会えて嬉しかった気持ちがしゅんとしぼんでいく。 「あ……違うんだ!ちゃんと話すから……少し時間いい?」 近くの公園に移動してベンチに並んで座る。 「この間の映画の後、染井くんに澤さんが……その、初めての恋愛だって聞いて……」 ……やっぱりそれが原因だったんだ……。 「俺は今まで、なんていうか恋愛に夢中になったことがないんだ。だから付き合ってもフラれることが多かった。別にそれでもいいって思ってた」 そんな人に処女は確かに重いよね……。 「……でも、澤さんのことは本当にいい子だなって。ただ染井くんに話を聞いてから、一緒にいるのが俺なんかでいいのかって不安になった。今回も本気になれなくて、傷つけてしまうんじゃないかって……」 ……あぁ、あたし……フラれるんだ……。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加