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大地の住む月島のタワーマンションの近くのスーパーで買い物をしたあと、マンションに帰った亜湖は手際よく常備菜を何種類かつくった。そして今、それらを先刻スーパーで買ったタッパーに詰めている。
「亜湖、もうそろそろ……いいだろ?」
大地が背後から亜湖をふわりと抱きしめた。
「あ、そうだ」
亜湖は思い出したことを言った。
「ネットサービスを周知徹底させるために広告媒体を見直しするって言ってたじゃない?」
……なんで今、仕事の話するか!?
大地は亜湖の耳を甘噛みして、気を逸らせようと試みる。
「わたしね、広告代理店の人知ってるの。以前、合コンで会ったことあるから」
「……合コン!?
……おまえ、合コンに行ってたのかっ!?」
しかし、気を逸らされたのは大地だった。
しかも、二人がつき合う前の話だというのに、大地の機嫌が突然、MAXに悪くなる。
「あっ、奥さんいる人だから、大丈夫だよ」
「そいつ、結婚してるのに合コンに来たのかっ!?」
「その人イケメンだったから、囮に使われたんだよ。奥さんらしい人にバレたみたいで、途中で言い訳の電話してたけど。こっちも蓉子が囮に使われたんで、心配だからわたしもついていったの……確かお名刺もらったはず……あっ、新田さんだ」
亜湖はスマホの名刺管理アプリで確認した。
「営業成績はトップだそうだよ。それに、気さくで親切そうな人だったし……思い切って、今までの広報のやり方をガラッと変えてみるのもアリだよね?」
……亜湖をコールセンターのオペレーターたちの責任者に、とは言ったが。
大地は亜湖を自分の秘書にしたくなってきた。
だけど、すぐ傍にいたら、仕事にならないかもしれない。
大地は愛しい亜湖を振り向かせて、ちゅっ、とキスをした。
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