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「赤のボールペンをくれ」
自分のデスクで、ステーショナリーネットへの注文リストを作っていた田中 千帆は、その声のするカウンターの方へ顔を向けた。
そこにいたのは、営業部・営業二課の上條課長だった。
田中 千帆は思わず後ろへ仰け反った。
……モデル並みのイケメンで、しかも専務の息子でもある上條課長が、なんでわざわざ総務までボールペンなんか取りに来るわけ?
実は、田中 千帆だけじゃなく、総務課内の全員がまるでコントのように、同じ格好で仰け反っていた。
確か営業二課は派遣の子がいたはず……今日は休みなのかな……だったら、例えば山田とか、下っ端のヤツが来るべきだろう……
と、どの顔にも書いてあった。
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