天使と悪魔

美天使の恋心

彼女は、この世に存在するとも思えない程とても美しい天使。

銀箔の様な色の大きな美しい翼を持ち、ブロンドの艶やかな長い髪。

天使達の中では、ひときわ目を引く彼女は見た目とは違い、男勝りの女戦士です。

人間が弱っていると、近くへ寄り添い「勇気」と「希望」を与え人間の心と共に戦う。
それが彼女の役割であり任務なのです。

天使界でも優等生の美天使。

そんな彼女もお年頃。
主天使様から一人の男性天使を紹介されました。

主天使様からのご指示は絶対。逆らう事は赦さません。
逆らえば、天使界から追放され堕天使として生きて行かなければならないからです。

彼女が空に浮く崖先で、途方に暮れていると友達天使がやってきて悩みを聞いてくれました。

「どうして悩むの？とても素敵な人なのよ」

「知ってるわ。でも、私には他に好いてる方がいるのよ」

「そうだったの？どんな方？」

「内緒よ。絶対に」

友達天使は首を傾げ「それなら、主天使様に、その事を伝えればいいじゃないの」と言いました。

彼女は深い溜息をつき
「それも出来ないのよ」と遠くの青空を見つめたのでした。