五番線

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「まあ、買ってくれとは言ってないから。ただ、これいいよね~って言ったら、次に会う時には買ってくれてる、みたいな?」 「悪いやつだなー、お前」 「そうか?でも、旦那いるのに、浮気してるアイツも悪いやつだろ?」 「確かに」 「それをさあ、勝手に勘違いして本気になって俺と結婚したいだとか」 「ありえねえ~」 「で、大声で泣き喚くから、恥ずかしくなって、終電が偶然来たから飛び乗ったってわけ」 「マジか。でも、この時間に終電ってあったっけ?」 「あ?何言ってんだ?まだ11時半だぜ?」 「ん?今、真夜中の2時だぜ?お前の時計、狂ってね?」 「マジ?いやいや、ありえねえ。スマホの時間も11時半だし。逆にユウタのほうの時計が狂ってるんじゃね?」 「いや、こっちは間違いないよ。だって、俺が店出る時、もう1時回ってて、今見てるスマホの画面も2時だもん。」 「じゃあ、俺と2時間半くらいズレがあるってこと?」 「そうなるのかな?」 その時、電車内にアナウンスが響いた。 「この電車は、きさらぎ行きです。途中駅、止まりません。」 「えっ?」 「どした?」 「今さ、電車のアナウンスで、この電車、きさらぎ行きだって。途中駅、止まりませんって」 「きさらぎ?そんな駅、あったっけ?」 「さあ~?俺、乗り間違えちゃった?」 「女に責められて、焦って乗るからw」     
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