十三番線

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「実は、お前が居た世界は滅んでしまった。」 「何を言ってるんだ。俺が電車に乗り込むまで、至って普通だったよ。」 「お前が電車に乗ったあと、とある国が誤って核ミサイルのボタンを押してしまったんだ。誤ってかどうかは知らないけどね。」 「そんなバカな。俺だって世界情勢を全く知らないわけじゃないんだぞ?全くそんな気配はなかった。」 「水面下では、冷戦が進んでいたんだ。とりあえず、日本は壊滅だ。これから世界大戦に一気に突入するだろう。」 「そんな与太話、信じると思うか?それと今の俺の状況に何の関係があるんだ。ここはどこなんだ?」 「ここは、さらに大戦から百年以上経った世界だ。つまり未来の別次元。人類がほぼ死滅した後に生まれた、人工細胞による世界だよ。」 「人工細胞?」 「そう、人工細胞。ほぼ死滅してしまった人類のごくわずかな生き残りの人間が研究で、DNA塩基を人工的に書きだしたゲノム配列を細胞に移植することに成功したんだ。」 俺は戸惑った。そんなことが可能なのだろうか。 「だから、この世界は純粋な人間はほぼ皆無。ほとんどが人工細胞で生まれて来たものなんだ。かくいう俺もね。」 「お前は何故、俺にそっくりなんだ?」 「それは、お前にゆかりのある人間が生き残っていて、お前そっくりの俺を創り出した。」 「誰なんだ、その俺にゆかりのある人間って。」 「今は、それは言えない。とにかく、俺は俺自身の元であるお前を助け出したかった。」 「それで、俺をこの次元に呼んだというのか?」 「そうだ。俺は俺のルーツを知りたかった。」
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