一番線

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一番線

 もう死ぬしか手立てがない。 俺は今、高架橋の手摺に寄りかかり、電車が来るのを待っている。 電車に撥ねられるのは痛いのかな。できれば、一思いに頭から撥ねられて痛みを感じないことを願いたい。  今日から5日間、クラスメイトは修学旅行へと旅立つ。両親には悪いが、俺は体調不良と嘘を吐き、修学旅行を欠席した。事なかれ主義の担任のことだ。俺が苛めを受けているのも知っているし、俺が修学旅行を欠席することも想定内だろう。残念だな、体大事にな、とおざなりな言葉を残して電話は切れた。  きっと修学旅行中も苛めは続くだろうし、そんな地獄のような旅行へ行く気にもなれなかった。最初は明るくて良いクラスだと思っていた。ところが、からかいが徐々に苛めに発展して行き、罵声、暴言、最近では暴力は日常茶飯事。金銭の要求までされるようになった。     
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