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並食型は本当に一番日常生活に支障がないタイプで、ただ無形物の何かを食べることができるようになっただけのタイプ。美食型は無形物が何よりも美味しく感じられるタイプ。これもあまり日常生活の支障はない。定期摂取型は異食症に近く、定期的に無性に食べたくなってしまうタイプで、これは生活に支障が出てしまう無形摂食症だ。そしてそれ以上に日常生活を送ることができなくなってしまうのが偏食型。無形摂食症の中でも非常に稀有なタイプで、無形物を摂取し、それを栄養に変換してしまうという能力が備わる。ただその代償として、無形物以外のものを食べると気分が悪くなるといった副作用が出てしまう。つまり、偏食型になるともう普通にご飯を食べる事は出来なくなってしまうのだ。
色々と怖い症状もあるが、優芽はあまり生活に支障がない美食型だ。これも発症した瞬間に無意識的に分かるらしい。ただ、美食型は無形物がその人にとっての至高の一品となるため、食べたがる人が多いとのことで、優芽もその例に漏れることなくこうなっているというわけである。
しかし、優芽は記憶を食べるという"食べ方"を間違えれば非常に危険なもの。細心の注意を払いながら、僕の記憶の一部だけを食べてもらうようにしている。もちろん、食べられた記憶はなくなるため、なくなってもいい記憶だけを食べてもらうようにしている。
で、今日食べた記憶はおととい一緒に作った創作料理のレシピの記憶。あくまでレシピだけなので、優芽と一緒に作った記憶は残っている。ただ、何をどうやって料理を作ったかは覚えがなくなってしまうので、レシピをメモで残してある。こうすれば、記憶を食べられてもあまり影響は出ないということだ。
「記憶が一番美味しいんでしょ? 僕が料理作る必要ってもうないんじゃない?」
「何言ってんの! 無形物は美味しいのは美味しいけど、栄養があるわけじゃないし、それに何よりも私は藍希と一緒に料理したいし藍希の料理を食べたい!」
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