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自己評価なんて考えたことなかったけど……でも、確かにそうなのかもしれない。
「別に人間は全部ひとりでやる必要なんてないんだよ。藍希は自分のためにやってもらうことが申し訳なく思ってるんでしょ? どう考えても自己評価が低いからとしか言えないよそんなの」
「でももう低いのはそういう性格としか言えないからね。なんだかんだで自分一人で大体生活はできるようになってるし、このままでも大丈夫だよ」
そうやって言うと、優芽は急に真剣な顔になって、質問を投げかけてくる。
「……じゃあ力になってあげたいって思ってる人がいても、その人のことは無視するの?」
「え……?」
「いるんだよ、ちゃんと。藍希の力になってあげたいって、そうやって思ってる人が。力を合わせて、ずっと一緒に……そうやって思ってる人は、藍希にとって迷惑なのかな?」
「いや、でも、そんな人は……え?」
そうやって言われて、そんな顔されて、分からないわけがない。
「ねぇ、藍希。私は、あなたのこと――」
優芽は両手で僕の肩を掴み、そして――僕の肩を掴む力が抜け、そのまま地面に倒れた。
「優芽……?」
何が起こっているのか分からなかった。
今、目の前に意識を失った優芽がいる。
それだけしか分からなくて、それがよく分からなかった。
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