-The Last Supper-

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「空気とか風とか、そういうものを"食べる"ことができるんだよ。不思議だよね。あ、でも私は空気とか風は食べられないみたい。よく仕組みは分かんないけど、この病気に罹患した瞬間に、自分がどういう部類の無形摂食症かが分かるんだよね。だから、別に調べなくても私が何を食べることができる無形摂食症なのかとか、どういう性質の無形摂食症なのかっていうのは自分で理解できてるんだよ」 「それじゃあ、優芽は何を食べられるの?」 「んー……それ聞いちゃう?」 「そりゃあ……だって、僕だって優芽の力になりたいし」  一応さっきの優芽の言葉の返事のつもりだった。優芽にはどう伝わったかは分からなかったけど、優芽は笑顔を一瞬見せて、無形摂食症の説明を続けた。 「記憶」 「え?」 「私、他人の記憶が食べられるようになっちゃった」 「記憶が……それって、どうやって食べるの?」 「それも無意識的に理解できちゃうんだけど、私の場合ね、おでこにキスすると食べられるみたいなんだよね」 「どういう仕組みなのそれ……?」 「だから現代医学じゃ解明できない謎の病気なんだよ。あ、でもね、病気って言っても別に治す必要はないんだよ。別に普通のご飯が食べられないわけじゃないからね」 「そうなんだ……じゃあ、生活に支障は全くないってこと?」 「全くってわけじゃないかもしれないけど、基本的にはないね。ただ、私は記憶を美味しく食べられるから、正直食べたいってのはあるんだけどね」  記憶が美味しいとはいったいどういう感覚なのだろう……でも、生活に支障がないなら良かった。     
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