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これからも優芽のために料理を作ってあげることができるのは、僕としても嬉しい。その嬉しさに気づいて、僕はこの気持ちにも気づいた。そんなときに、優芽はこんなことを言ってくる。
「それでさ、藍希。私の力になりたいって、つまりどういうことかな?」
……これは、完全に色々察していただいているようだ。
でも別にもう怖気づいたりはしない。ただ、この気持ちを素直に伝えるだけだ。
「優芽に料理を作ってあげること。それだけで僕は幸せだったって気づいたんだ。他人にしてもらうことが相手にとっては迷惑になってないかって、そうやって思ってた。だけど、好きな人の迷惑なら嬉しいこともあるんだなって。よく考えたらそうだよね。僕は料理を作ってもらうってことが迷惑そうで申し訳なくて、自分でやるようになったけど、そうやって考えれば、優芽は毎日僕に迷惑かけてるってことなんだもんね」
迷惑をかけられてもいい相手。それが好きな人なんだと気づいた。だから僕は、優芽のことが好きなんだってことにも気づいた。
「私だって、いつも作ってもらってばっかりで、何も力になってあげられなくて……でも、これからは迷惑かけあいっこだね」
こうやって、僕らは好きな人の存在に気づくことができた。
この後に来る、さよならも知らずに。
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