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恋人になったからって、別にこれといって何も変わらない生活が続く。変わったことと言えば、優芽が食器の片づけをするようになったことくらいだ。それと、もうひとつだけ変わったことと言えば。
「ほら、藍希、おでこ出して!」
「んー……いつになっても慣れない……」
優芽に催促され、前髪をあげて額を出す。そして、優芽がキスをする――すると、僕らは謎の光に一瞬包まれる。
包まれていた光が消えると、優芽はうっとりした顔を見せる。
「はー、美味しかったー! やっぱり好きな人の幸せな記憶は美味しいもんだね!」
「それは優芽以外の人間には誰も理解できないんですけどね……」
無形摂食症には、四つのタイプに分けることができるということを後から聞いた。並食型、美食型、定期摂取型、偏食型の四つだ。
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