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私というもの
四年と四ヶ月、勤めてきた会社を辞めることにした。
なのに、私はまだその理由がはっきりと見えない。
高校三年生。
みんながいよいよ志望校への受験勉強、就職先へ向けての面接練習、と右向け右、左向け左と足並みを揃えている頃に、私は右を向くべきか左へ向くべきか分からずに居た。
進路指導の先生に、「お前はどうしたい?進学か?就職か?」と聞かれたときも、はっきりとした答えが出せず、その時の先生の苦々しい顔と言ったら、今でも忘れがたい想いがある。
大半の子が進学を選ぶ波に逆らうこともせず、「みんなが歩く方向」に足を向けた。
でも、「じゃあ、お前は大学で何がしたい?」なんて難問がその先にあるなんて、思っても見なかった。
「あなたの夢はなんですか?」
幼稚園の時には迷うことなく答えられたのに、まさかそれを忘れた頃に、またその質問が自分の目の前に戻ってこようとは思っても見なかった。
高校は私にとってとても楽しい場所だったし、嫌なこともあったけれど、それでも楽しい思い出の方がたくさんあった。
馬鹿だった私はその楽しい時間に終わりがあることなんてちっとも考えていなかった。
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