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「タダで学校に通えるんだから、良いよな。」と私に付き添って来た先生は、私に何度もそう繰り返した。
親と相談する時間すら、与えてもらえなかった。
学校は次第に休みがちになり、その学校へ行くための交通費を稼ぐためだけにバイトに勤しんだ。
今思えば、私はずっと折れたままだったのだ。
半年という短い学校生活を終えてもバイトは続けた。
バイト先には学校よりも年の近い子がたくさん居たし、その子達と遊んだりするのが楽しかった。
ある日、バイトの仲間達とボーリングに出かけたことがある。
私と同年代のバイト仲間達が全員学生割料金を適応されるのに対して、私だけが一般料金を支払った。
その時みんなは誰一人例外なく、ばつの悪そうな顔をしていたのを私は知っている。私は前科でも露見したかのような居心地の悪さを感じてみんなの視界になるべく入り込まぬよう縮こまっていた。
みんなが当たり前のように持っている学生証は、選ばれた人間しか持つことが許されないのだ、と私はボーリング場の喧噪の中で楽しむ私を演じつつ、ぽっかりと思った。
そんなバイト仲間達も次第に就職活動でバイトに来なくなった。
慣れないスーツを来てあちこちに面接へ行ったという話で持ちきりになる。
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