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久々の雨になった。
少し吹きつける風で乱れる髪を時折直しながら、真っ直ぐ家へと向かう。
天気予報で今日は一日中晴れのはずだった。
それなのに、夕方から突然激しく雨が降り出した。
私は置き傘があったから良かったけど、きっと今日大半の人が傘なんて持っているはずがない。
それを証明するかのように、真横をパシャパシャと駆け抜けていく人。
スーツなのに可哀想だなぁ、とよぎると同時に見覚えのある後ろ姿に咄嗟に声を掛ける。
「祐介さん! 」
雨音でかき消されそうな私の声に反応して、立ち止まり振り返るのはやはり祐介さん。
この雨はどうやら私の味方だ。
「あ、比奈ちゃん!ビックリした…やっぱり物凄く似てるなぁ、声」
祐介さんに走り寄り、傘に入れる。
すぐにお姉ちゃんと比べる祐介さんの話を流しながら、持っていたハンドタオルを差し出す。
ずぶ濡れだから、ハンドタオルで拭えるわけはないけれど、「ありがとう」と受け取り、顔を拭いた祐介さんは、ため息まじりで元気がない。
原因は安易に予想できて、結果当たっていそうな気がする。
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