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顔も頭も言うことも振る舞いも、何もかも平凡な私。 こんな私にも初めて彼氏ができた高校二年生の春。 手を繋ぐこともキスをすることも覚えた。 そして、別れも。 平凡な私は、初めてドラマのヒロインになれたと思ったけれど、ベタなストーリーで台本通りのような別れだった。 初めてできた彼氏を家へ呼んだことに浮かれていた私は、何の躊躇もなく自慢げにお姉ちゃんを彼氏に紹介した。 玄関で挨拶を交わす二人を見て、自然と笑顔にもなった。 今思えば、自分をバカだとしか言いようがない。 挨拶が済んだ彼氏は私の部屋に入るなり、お姉ちゃんのことをやたら聞いてきた。 話している内にだんだん、なんでお姉ちゃんの話しかしてないんだろう、と胸が苦しくなった。 間抜けなことに、この時初めて気づいたんだ。 比べられるだけじゃない、気持ちを持っていかれることもあるって。 お姉ちゃんの意思とは関係なく、周りが勝手に好きになって、私とはもう付き合えないと一方的に切られる。 もう何度繰り返しただろう。 ひどい時には、私を口実にお姉ちゃんと会ったり、無理強いする人もいた。 お姉ちゃんを嫌いになれたらいいのに、巻き込まれたお姉ちゃんは怒りもせず、毎回フラれた私を慰めてくれる。 ようやく虚しいって感情を覚えて、お姉ちゃん越しの私は、いつまでたっても誰の一番にもなれないってことがわかった。
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