1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
顔も頭も言うことも振る舞いも、何もかも平凡な私。
こんな私にも初めて彼氏ができた高校二年生の春。
手を繋ぐこともキスをすることも覚えた。
そして、別れも。
平凡な私は、初めてドラマのヒロインになれたと思ったけれど、ベタなストーリーで台本通りのような別れだった。
初めてできた彼氏を家へ呼んだことに浮かれていた私は、何の躊躇もなく自慢げにお姉ちゃんを彼氏に紹介した。
玄関で挨拶を交わす二人を見て、自然と笑顔にもなった。
今思えば、自分をバカだとしか言いようがない。
挨拶が済んだ彼氏は私の部屋に入るなり、お姉ちゃんのことをやたら聞いてきた。
話している内にだんだん、なんでお姉ちゃんの話しかしてないんだろう、と胸が苦しくなった。
間抜けなことに、この時初めて気づいたんだ。
比べられるだけじゃない、気持ちを持っていかれることもあるって。
お姉ちゃんの意思とは関係なく、周りが勝手に好きになって、私とはもう付き合えないと一方的に切られる。
もう何度繰り返しただろう。
ひどい時には、私を口実にお姉ちゃんと会ったり、無理強いする人もいた。
お姉ちゃんを嫌いになれたらいいのに、巻き込まれたお姉ちゃんは怒りもせず、毎回フラれた私を慰めてくれる。
ようやく虚しいって感情を覚えて、お姉ちゃん越しの私は、いつまでたっても誰の一番にもなれないってことがわかった。
最初のコメントを投稿しよう!