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ある日のアルバイト帰りに、会社帰りのお姉ちゃんを見つけて、いつものように後ろから駆け寄り、声を掛けた。 後ろ姿からして、隣には初めて見る男の人が一緒だったから、今回はどんなカッコイイ人かと、ワクワクしていた。 けれど、そんな気持ちは一瞬で吹っ飛び、締まりのない顔で振り返った男の人は、私が妹だとわかると、慌てて挨拶をしてきた。 今までに会ったことのないタイプの人で、お姉ちゃんにはあんな人よりもっとしっかりした人の方がお似合いだとか余計なことを考えた挙げ句、自分の都合良いように物事を考えていることに気づいた。 揉まれた高校生活があったおかげで、鈍感な私はすっかり敏感に成長していたのだ。 後々、お姉ちゃんに聞いたら「別に付き合ってないよ」と言われてなんだか安心した覚えがある。 私には応用力がないのか、とうとうお姉ちゃんだけを見つめる人に恋をしてしまった。
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