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「最近よく会うね」
私がわざと時間を合わせているからだよ、って言いたいのを我慢して「帰る時間も家も近いからかな」と答える。
「それより祐介さん、なんだか元気ないね。お姉ちゃんにフラれでもした?」
話題を変えたくて、口にしたのはお姉ちゃんのこと。
結局私も祐介さん同様、お姉ちゃんを話題にしてしまうんだ、と心の中で苦笑い。
その上、一番聞きたくないコトを言ってしまった。
「フラれるって…比奈ちゃん、もしかして」
「お姉ちゃんが好きなんでしょ?」
「気づいてたんだ…」
祐介さんは大きく目を見開き、肩を落としてうなだれた。
そんな姿が愛しくてたまらない。
「だって、わかりやすいもん。で、どうしたの?お姉ちゃんと何かあった?」
表情が暗くなった祐介さんは「いや、実はね、しばらく一緒に帰れないって言われて」と呟いた。
眩暈が起きそうな衝撃。
祐介さんを待ち伏せすると、お姉ちゃんが必ず一緒にいたのは、そういうことだったんだ。
祐介さんが毎日のようにお姉ちゃんを誘えるはずがないとは思っていたけれど、まさかそんな約束が交わされているなんて考えもしなかった。
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