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「てめェって奴はよぉ~~~ッ、『クラスメイト』が酷い目に合わされてるってのに、止めに入りもしねェんだな~~~? 薄情な奴だぜ」
――――出た。これは、全く意味のないことに因縁をつけて、挙げ句の果てには暴力による『指導』を行おうとする、彼の常套手段。
控えめに言っても馬鹿らしく、知能の浅はかさが見えるやり方だが、彼より下の地位である僕らにはこれを上手くかわす方法がない。彼に因縁をつけられた時点で、何を言っても逆上され殴られることになるのだ。
ならば甘んじて受けるしかない。ただし、彼の下種な精神を逆なでしないように、言葉に気をつけながら。
「……『先生』のご意向に添えず、申し訳ありません」
言葉を言い終わるか終わらないかの瞬間、左頬に鈍い痛みが走る。それと同時に、僕は椅子から転げ落ちた。
どう言っても殴られることはわかっていたが、体自身が殴られたことを自覚したのは、椅子から転げ落ちた後にトラヴィスの吐き捨てるような台詞が聞こえてきてからだった。
「ホンっト~~~に可愛げの無ェ奴だなぁ、テメェはよォ! ……あーもういいわ、今日の授業終わりな! 後は勝手にテメェらでやってな!」
わざとらしく足音を鳴らし、ドアを乱雑に開け放ちながら、トラヴィスは部屋を出て行った。……見れば見るほど、腐った人間性だ。
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