第1章 初めてのデート

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私は耳を塞いで幸い2つあるバスルームの1つに逃げ込みました。 ここなら安全、階下の声は聞こえません。それでも念の為シャワーで音を立ててバスタブにお湯を張りながら、安堵のため息をつきました。 父は若くないし、彼女が頑張ってもそれ程長い行為は出来ません。ゆっくり湯に浸かって出る頃には終わるでしょう。 それにしてもほぼ毎日です。 私への嫌がらせなのでしょうが、感心してしまいます。 ――それとも本当にしたくてしているのかしら。そんなに気持ちいいの? 父は友達のお父さんに比べれば少し若くてカッコイイのですが、18も年下の彼女の恋愛対象になるなんて不思議です。 私はまだ男性とお付き合いしたことがありません。 中高一貫の女子校から女子大に進学し、男性と接する機会なく育ちました。現在も同じ女子大の大学院に通い、男性は年配の教授のみの環境で生活しています。 同じような境遇でも既に何人もの男性とお付き合いしたと豪語する知人もいますが、友人は皆1人、あるいは私のように0人の男性経験です。 男性に全く興味がないわけではない――とは思いますが、どうしても彼氏が欲しいという願望も、いきなり声を掛けてくる男性について行く好奇心もなく大人しく生きていれば、まあ、そんな感じになります。 ――ここに男の人のモノが入って来たら、私もあんな声を出してしまうのかしら。 試しに指を入れてみようとしたけれど、怖くて止めました。 そしてバスルームを出て新しい下着に着替えていると、軽く扉をノックして継母が入って来ました。 「ごはん出来たわよ」 「ありがとうございます。すぐに降ります」 答えても何故か彼女は出て行かず、そのままじっと下着姿の私を眺めていました。
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